≪この記事を読むメリット≫
・受験生が、不安焦燥感に駆られた“完璧主義”から抜け出せるようになる。
公認関係士試験を例にとりますと、2006年からリニュアールをされて、問題形式が大きく変わりました。
それまでの公認会計士試験は、超体育会系でいかに多くの知識・理論を暗記出来るかを競い合って、根性論でガリガリ頑張って必死の想いで上位の本の数パーセントが合格する様な試験だったのです。
ところが2006年からは抜本的に改正されました。
知識偏重ではない、専門家としての価値観を伴った誠実な公認会計士を育てようという事で、ガリガリ暗記ではなく教科書に無いような事例をいきなり出して受験生を戸惑わせる問題が各科目で散見されるようになりました。2008年からは、それまで貸与されなかった条文集も貸与されるようになり、完全に暗記偏重から脱却したのです。
2006年の会社法の科目の問題ですが、こんな問題がありました。
『通常の取締役会設置会社と委員会設置会社との機構の相違点について論じなさい。』
…なんのこっちゃ(笑)と想っちゃいますよね^m^(笑)。まあ、こんな出題があったんです。
これに用意された回答欄は2005年までと違って15行程度でした。
正直15行では、この問題の解答を十分に行うには、はっきり言ってスペースが全く足りません!!受験生だけでなく、解答速報を出す受験予備校も頭を大いに悩ませたのです。場合によっては、予備校によって模範解答が割れたところもありました。
結論です。
≪この問題は物理的に100点が取れない問題だ≫
して、
≪出題者は、受験者の優先順位を判断するために敢えて不完全な解答に終始する問題を用意した≫
のです。
絶対に100点が取れなくとも、高得点(70~80点)を狙う事は出来ます。その為には重要性の高い専門知識を頭の中から探して、それに優先順位を付けて適切に組み立てて答案を書きます。
↑↑の例で言えば、取締役会の定義をまず最初に書き共通点を書いてからそれぞれの会社の相違点を書いて行くのが定石です。
この際に、優先順位を付けずに従来の2005年までの暗記偏重型と同じで会社法上の条文の知識を全部羅列するつもりで書こうとしたら、結論に行く前に15行目を迎えて、答案が尻切れトンボになり、恐らく0点です(涙)。
限られた時間の中で、“え~~全部書けないじゃん!作問ミスだよこれ!”という混乱に陥らずに優先順位を即座に正しく判断出来得る受験者の能力と価値判断を試すのがポイントです。
別に100点を取れなくても良いのです。実務上は100点どころか65点~70点の場面でも御の字という場面がむしろ多数派なので、実務家に相応しいか否かを試すにはこの問題は最適でしょう。
試験である限り、専門知識はあって当たり前なのです。
ただ、それを想定しえなかった状況でも、その場面に相応しい対応が出来るか否かが、資格保持者としての意義です。
