資格試験・大学院入試の理論論述の採点について、採点する試験委員は、当然に文章を全部読みますが、特徴があるんです。
答案を左手に、右手に赤ペンを持って………右手側に《論点チェックポイント表》を置いてこれを見ながら採点をして行きます。
例えばこんな感じ。ざっくりとした例ですよ。
(設問例)モンゴル帝国の西方遠征に於いて、ドイツ・ポーランドへ遠征したバトゥの戦略とサウジアラビア・パレスチナへ遠征したフレグの戦略について論じなさい。(60行)
世界史検定1級でこんな論述問題があったとします。
一見ざっくりしていますが、ちゃんと世界史を勉強してきた世界史検定1級受験者であれば当然に書くべき事があるので、これを《論点チェックポイント表》として置いて、該当していればその論点ごとに点数が与えられます。
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《論点チェックポイント表》
「1-1」当時のバトゥとフレグについての説明(5点)
「1-2」両者ともにフビライ・ハンの息子で、モンゴル軍の総司令官であった事実(5点)
「1-3」モンゴル帝国の戦略の基本戦略(※バトゥとフレグ供に共通しているスピーディーな騎馬戦略、その前提となる徹底的なスパイ調査)(20点)
「2-1」両者の具体的な相違点。(※ロシアとアラブとの地理的な気候の違い、モンゴルの騎馬戦略が取りたくてもあきらめざるを得ない事実)(30点)
「2-2」ロシア遠征のバトゥの戦略の詳細(20点)
「2-3」アラブ遠征のフレグの戦略の詳細(20点)
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ざっくりと書きましたが、↑↑の様な《論点チェックポイント表》をあらかじめ用意しておいて、これらの論点が記述されていれば、“はい、5点。”・“はい、20点”という具合に《加点方式》で採点されてゆくのが一般的です。
答案を、ざざ~~っと読んでから“お~分かってるな!これなら○○点だな。”とバックり採点している訳じゃないんです。
《論点チェックポイント表》が用意されているのは、各受験生の様々な文章構成・表現に対応して、採点に客観性を持たせるためなんです。
試験委員も人間なので正直好みがあります。教授の好みを採点に反映させるわけには行かないためです。

ちなみに、難関国家試験になりますと、専門知識・知見を正しく理解しているのか否かを確かめますので、専門用語の《定義》を最初に書かせる問題も多く出題されます。
この《定義》はまず最初に書く事になるため、ここで間違えると相当痛いです。
周囲の競争受験生は、こういった肝心要の部分は必ず書いてきますので、ここを落とすと他での挽回がかなりキツいです。
そしてこれも実勢に試験委員から伺った事ですが、一番嫌なのは答案構成そのものよりも、
誤字・脱字
が鬱陶しいくらい不愉快との事です。定義がせっかく書けているのに、誤字・脱字のせいで減点せざるを得ないのは採点している立場でももったいなさすぎる……。
そして……
字が汚いと、本当にうんざりする
達筆でなくて良いから、せめて丁寧に書いて欲しい。
こうやって書いてりゃあ本当に当たり前の事ですよね。
でも本番の緊張感その他で、殴り書きしてしまったりするのはどうしてもある事なので、普段から実際にペンを持って丁寧に書く練習をしましょう。気を付けているだけでも、だいぶ差が出ます。
